客室
Q&A
ホテル・旅館、温泉施設の建築をご検討中の方には、さまざまな疑問や不安があるのではないでしょうか。ここでは、当事務所にご相談が寄せられたよくあるご質問を紹介し、Q&A形式で回答します。
ペット対応客室を設計する際、その他注意する点はありますか⑤
コテージタイプの場合はワンちゃん用足洗い場の設置が望ましい。
ペット対応客室を設計する際、その他注意する点はありますか④
踏込みにリードフックを複数用意するとお出かけ時に便利です。
ペット対応客室を設計する際、その他注意する点はありますか③
フェンスを設ける場合はおよそ1,200㎜~1,500㎜程度が目安とされています。
ペット対応客室を設計する際、その他注意する点はありますか②
ドアはペット挟まれ防止にソフトクローズが望ましい。
ペット対応客室を設計する際、その他注意する点はありますか①
テラスや露天風呂等手摺から抜けていかないよう手摺子のピッチに注意が必要です。
臭い問題が気になるのですが、予防、対応策はありますか
予防策は消臭効果のある仕上げ材を選定する。臭いへの対応としてオゾン脱臭機や次亜塩素酸脱臭機を検討すると良いでしょう。ペット用にゴミ箱を設置する場合は消臭仕様のものを選定すると良いでしょう。
ペット対応客室を設計する際、仕上げはどのような配慮をしたらよいか③
壁仕上げは消臭ビニールクロス等、消臭効果があるもの、また水拭きしやすいものが望ましい
ペット対応客室を設計する際、仕上げはどのような配慮をしたらよいか②
テラスの床仕上げ(デッキ、タイル)は特に夏場高温になりやすい為、マットを敷くなどの配慮が必要
ペット対応客室を設計する際、仕上げはどのような配慮をしたらよいか①
床仕上げは滑りにくく、取替えやすい材料を選定する。(例:ペット対応フローリング、タイルカーペット 等)
- コーティングなどがないフローリングの場合、ペットの排出物が染み込み部屋全体が臭くなる原因に。
- ワンちゃんは臭いに敏感な為、臭いと常にストレスを抱えてしまうので要注意。
サウナの内装に使用する木材は?
アバチ、スプルス、米ヒバ、パイン、ヒノキ等があります。
客室露天風呂をうまく仕切りたい
開放すればテラスに繋がり、閉めればプライバシーを保てるしつらえ
ヒントとサンプル
①建具を開放した姿と、閉めた姿の実例。(図1、図2)
②入浴しない時は建具を開放しておけば、テラスが広く感じられ、景色としても温泉宿らしくてよい雰囲気になる。(図3)
ベッド廻りのモバイル用コンセント配置位置
使いやすい場所にコンセントを
モバイル端末の充電コンセントは、目覚ましアラームを携帯、スマートフォンで使う場合が多いのでベッド廻りにあれば使い易い。
ヒントとサンプル
①家具用コンセントをヘッドボードに設けた例。使わないときはコンセントの差口は閉じるタイプを使用し、埃によるトラッキング現象を防ぐ様にしている。(図1)
客室の家電配線の工夫
家電の電源廻りをすっきり納める
TV、電話、オーディオなどの電源アダプタや配線余長コードが露出して見えてしまうと煩雑な印象を受ける。また清掃しづらい。
ヒントとサンプル
①TV台下に配線スペースを設け、コンセント、電源アダプタ、配線余長コードを収納(図1)
②棚板には空気抜きと兼用の配線孔キャップを取り付けて配線する。(図1)
③配線スペース背板の一部を取り外し可として、配線接続を行う。(図2)
④見えがかりには余分なものが露出せず、掃除もしやすい。(図3)
畳椅子によるリビング空間づくり
畳の上の快適なくつろぎの場をつくる方法
ヒントとサンプル
①窓際で家族や友人と団欒ができるよう、ソファベンチと肘掛ソファをセット。背面の和柄もアクセントです。(図1)
②ゆったりとお茶をしながら、脚を伸ばしてくつろいでいただけます。サイドテーブルもスッと近くに軽く引き寄せられます。(図2)
③すぐ脇にはベッドのあるシチュエーションでも、少し変わったソリのあるデザインの椅子とのコンビネーションです。(図3)
客室での食事のしつらえ
テーマにあわせたシーンづくり
利用するお客様のニーズに答える、オリジナルなしつらえ。
ヒントとサンプル
①リビングのくつろぎの中で、お食事をするような感覚。食事の際は腰あてを沿え、理想の態勢でいただけます。(図1)
②家族旅行、お部屋でわいわいとみんなでお食事を。周囲に気を使わず団欒の時をお楽しみいただけます。(図2)
テーマ性のある客室備品のしつらえ
コンセプトを見せるおもてなし
ヒントとサンプル
①楽しいお茶の時間をご提供。「淹れ方」のしおりも添えて、会話も広がります。(図1)
②和室の片隅にささやかなお化粧コーナー。素敵な手鏡もご用意し、ちょっと特別な気分を演出いたします。(図2)
③お茶棚をイメージしたしつらえ。障子との相性もよく和のホテルらしい雰囲気をつくります。(図3)
客室にいる時間を楽しくするテクニック
窓辺に遊びの空間をつくる
ヒントとサンプル
①ラタンのハンモックを吊るし、遊びの要素をつけました。(図1)
②270度見渡せるお部屋のサンルームに、二人でもゆったりできるお昼寝ベッドを置きました。(図2)
③窓枠にカウンターを設けてオーシャンビューの特等席をつくりました。(図3)
和室に似合うベッドのデザインテクニック
和室のベッドルーム
和室の一部にベッドを置く場合は、目線の低い畳から見て圧迫感のない工夫をすると良いです。
ヒントとサンプル
①板床の台の上にマットレスを置き、お布団のようなベッドのスタイルをつくりました。ナイトテーブル代わりにお膳を置いてもよいです。(図1)
②既存の和室のまま、床の間を改装しヘッドボードをつけました。横のラインを強調したデザインにし低めのプロショーションの印象にしました。(図2)
③やわらかい障子の光で圧迫感をなくしました。ヘッドボードの奥行きを広くし物を置けるようにして、ナイトテーブルをなくしました。(図3)
水屋周りのセッティングテクニック
見せることと隠すことをうまく使い分ける
インテリアに溶け込むよう、茶器類も家具のひとつとして考えるセッティングを行うと良いでしょう。
ヒントとサンプル
①お茶だけでなくシンクやバーコーナーを設けることで、贅沢なプライベートバーコーナーとなります。(図1)
②お茶や水屋のセットを必要な分だけ見せるようにセッティングします。雑多な雰囲気がなく、雰囲気良くデザインされている印象を作ることができます。(図2)
③見えるところには置かず、引き出しの中に収納します。すっきりと無駄のないデザインになります。(図3)
ベンチと兼用した下足入れ
狭い踏込スペースでのやさしさ設計
客室の踏込は、狭いスペースの中に機能を組み込むと煩雑に見える場合があります。
設置する下足入れを活用し、踏込の昇り降りに便利なベンチを組み込むと良いでしょう。
ヒントとサンプル
①下足棚の高さは、低い方の床から450程度程度あれば、上がった床面からも座りやすい高さになります。(図1)
②壁に手すりも設置すると、動作しやすくなるため、おすすめです。(図1)
客室テラスのサービスルート確保
隣り合う客室テラスで、効率的に清掃を行える仕組み
客室のテラス・露天風呂の清掃は、通常1室ごとに行うため、時間がかかってしまいます。
ヒントとサンプル
①客室外部テラスを連続して清掃が行えるよう、界壁にサービス用の低い扉を設けて、作業時間の短縮化を図りました。(図1~2)
②扉の高さは1300とし、普段は扉として目立たないように、デザインを工夫しました。施錠も必要です。(図1~2)
ロッカーの傷防止策
木目の扉を傷つけない、取手のアイデア
脱衣ロッカーなど、つまみや引手の形状によっては、扉を開け閉めするときに、表面材である練付け材やポリ合板に爪があたり、傷つきやすくなります。
ヒントとサンプル
①開けると抜けない鍵を選び、引手代わりにすると、扉表面に爪があたりにくくなります。また、根元は鍵の受け金物なので、爪が当たっても傷になりにくいでしょう。(図1~2)
②扉の表面材を強度の高いメラミン化粧合板にすると良いでしょう。(図1~2)
③引手をプラスチックや金物などの大きめのものにする方法もあります。
テラスによる広がりと開放感の演出
客室を広く見せ、且つ開放感を得る
窓の外に広がっていた無機質な屋上を利用しつつ隠します。
ヒントとサンプル
①無機質な屋上が広がっていた窓のそとのスペースを必要なだけ取り込み、テラスとして部屋と一体化させます。(図1~2)
②いらない分を杉板で目隠しし、雑木林の景色を生かします。(図2)
③腰窓をはき出し窓に変え、テラスと開放感を得た事例。(図3)
客室トイレの流水音対策
節水型便器には流水音が大きいものがあります
現在の便器は、節水型のものが多いのですが、使用水量を少なくするために、排水を吸い込む音が大きい器具があり、寝室に近いところにトイレがある場合、夜中に安眠を妨げられる可能性があります。(図1)
ヒントとサンプル
便器の機種を選定する前にショールームで流水音の確認をしたり、プランニングをするときにトイレの位置を寝室からできるだけ距離をとったり、防音処理をするように留意しましょう。
例えばTOTOでは、
(図1)…良く使うネオレストは節水型のため、流水音はかなりします。その対策として、水を流すときに、便フタが自動で閉まるものがあります。ネオレストハイブリッドシリーズ AH、RHタイプなど。
(図2)…より静かさを求めるならば、静音タイプのワンピース便器があります。ただし、洗浄水量は節水型に比べると多くなります。
大浴場脱衣室に設置される電気機器についての注意点はありますか?
入り口に設置される下足入れに殺菌灯を設置しましょう。常に清潔なスリッパを履いて頂けます。
脱衣室内には、マッサージ機、扇風機、くし殺菌庫、ドライヤー等があります。ドライヤーについては電気容量が大きいため単独回路にします。
踏込廻りの設備・機器はどのようなものが必要ですか?
廊下側にはルームナンバー、名札、チャイム、等が必要になります。
サイン類や鍵穴が暗くて見えない場合があるため、適所に照明を設置します。
客室側には避難経路サイン、ドアガード、戸当り、ドアスコープ等の有無の確認が必要。
食事の部屋出しを行なう場合、部屋内にお膳を置ける棚を配置します。
下足入は館内履き以外の履物の収納の有無、女性用ブーツの収納スペースの確認が必要です。
最近は式台、框がキャリーケース(キャスター付バッグ)で傷つけられる場合が多く見受けられます。石にするなどの材種の検討が必要です。
清掃のしやすさで心がけることはありますか?
棚、地板廻りには雑巾摺りを取り付けます。
床が畳の場合でも、掃除機がぶつかり壁を傷つけることが多くあるので巾木や裾貼の検討も必要と思われます。
服入の寸法はどのように考えますか?
コートを掛けられる高さ(丈)を考慮する。
浴衣、パジャマ等の館内着は季節ごとに変わるので注意が必要。
金庫を置く場合はスペースの確保を検討する。
押入の大きさはどのようにしていますか?
使用するマット、布団・まくらの大きさ、枚数により決定します。ふとん収納を2つ折りとするか3つ折りとするかの検討も必要です。
布団敷きとした場合の注意事項はありますか?
布団を敷いた場合に座卓、座椅子を収納するスペースの確保が必要です。
部屋の遮光をどのように考えますか。
ふすま、カーテン、ロールスクリーン等の方法が考えられます。
室内の雰囲気、障子、欄干などの取り合いに注意します。
使いやすい洗面所はどのような機能があるでしょうか?
カウンターは3方立上がりとすると清掃しやすく、汚れが目立ちません。
脱衣かごやタオルバーのスペースを考える。スイッチ付きのホカホカハンガーを設置するのが望ましい。
寒い地域では床暖房や曇り止め鏡ヒーターの敷設を検討する。
アメニティーやドライヤー類の置き方を露出にするか、引出にしまうか等の検討は設計時にしておくとよいでしょう。
下地材で注意が必要な事項はありますか?
便所の手摺、ペーパーホルダー、タオルハンガーなどの壁下地がPBの場合は固定箇所はベニアなどの木下地で補強を行ないます。
電気容量で注意をすることは?
各部屋毎に分電盤を設け、電気ポット・ドライヤーは使用容量が大きいため単独回路とします。
スイッチ・コンセントについて考慮しておくことはありますか?
昨今、枕元に携帯電話の充電器用コンセントを設置することが多いです。
TV、電話、コンポ、冷蔵庫、加湿器、照明スタンド、アロマポットなどの有無、配置を確認します。
サービス用に一括スイッチを踏込に取り付ける。お客様の目が届かないようH1800~2000程度が望ましい。
空調機器の設置位置について。
送風が直接人体にかかると不快に感じます。特にベッドルームでは顔に直接空調の風がかからないよう配慮します。食事を部屋出しする場合には換気扇、換気容量の確認が必要となります。
客室内バリアフリーに注意すること。
便所と主室の床はフラットとし、新築の場合浴室(ユニットバスを含む)も躯体を下げフラットに仕上がるように配慮する。踏込、便所、浴室には手摺を取り付ける。