大風呂・露天風呂・サウナ・エステ

大風呂・露天風呂・サウナ・エステ

Q&A

ホテル・旅館、温泉施設の建築をご検討中の方には、さまざまな疑問や不安があるのではないでしょうか。ここでは、当事務所にご相談が寄せられたよくあるご質問を紹介し、Q&A形式で回答します。

水風呂の温度を1年通して冷たく保ちたいのですがどうすれば良いでしょうか?

チラー(一定の水温に保たせる機械)の導入が必要になります。ろ過機も含め1千万程度と高価な設備となりますので、よく検討が必要かと思われます。

※濾過機も含め1千万程度と高価な設備となりますので、よく検討が必要かと思われます。

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サウナから眺望を楽しめるよう大きな窓を付けたいのですが、普通のサッシが使用できるか。

特定防火設備(火災の加熱に対し性能が強化されたサッシ)を使用する必要があります。

※所轄消防が東京消防庁の規定に準じている場合、規制が厳しいので注意が必要です

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サウナのバリエーション

ドライサウナ、スチームサウナ、ミストサウナ、塩サウナ、薪サウナ等 なかでも利用者がサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させるセルフロウリュが人気です

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サウナの内装に使用する木材は?

アバチ、スプルス、米ヒバ、パイン、ヒノキ等があります。

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洗面スペースの商品力UP

隔て板等を設け、お客様一人ひとりの洗面スペースの確保

洗面器が並んでいるのではなく、区切られていることによりすっきりとした印象に。
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気持ちいい風呂にする間取りの工夫

体を洗う空間と心を洗う空間

日本人にとって湯につかって過ごす時間は、ただ体を洗うためだけではない、特別な時間ではないでしょうか。
余分なものを廃し、虫の音・波音・葉擦れ・風を感じて過ごせる風呂になるように工夫しました。
 
ヒントとサンプル

①大風呂への風除室を兼ねた洗い場。加熱暖房をすることで大風呂の窓を開放させても寒くなく快適に使えます。(図1・2)
②洗い場を切り離すことにより、静かな空間でお風呂を楽しむことができます。洗い場が別なので、半露天風呂や完全露天風呂も可能です。(図1・3~11)

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使わなくなった、カラオケやクラブ、ピロティ等のスペースを活かしたい

スペースの大小によって、様々なSPAやエステマッサージ空間に生まれ変わらせることができます

スペースの有効活用とともに、売り上げUP、商品力の強化にも繋がります。
 ヒントとサンプル

①地下のカラオケルームをSPAにしました。地下であることを活かし、
 神秘的な空間、をコンセプトとしました(図1) 
②使われていなかったピロティを広々としたSPAにしました(図2)
③その他 空間を有効活用した例(図3~8)

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滞在型旅行に向けた商品力UPを図りたい

SPA その他滞在スペースを作ることで、旅館・ホテルでの滞在期間中の楽しみを増やす

温泉、環境、食などと結び付けることにより、個性的なSPAの提案ができます。
また、サウナ付客室・アスレチックジムも近年商品力UPが期待できます。
ヒントとサンプル

①水着でゆっくり過ごす、リビングのようにくつろげるSPAを作りました(図1)
②男女別の裸の温泉ゾーンもあり、シーンによって使い分けられます(図2)
③本格的なエステゾーンも併設されており、温泉との相乗効果を生んでいます(図3)
④お部屋に泊まられたお客様のプライベートサウナ(図4)
⑤ご宿泊のお客様が無料で利用可能なジム(図5~8)

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個性的なサウナ、岩盤浴等を取り入れたSPAをつくりたい

自然環境などに加え、サウナ等の流行も取り入れることで、魅力あるSPAが提案できます

商品力が長持ちする自然環境などに加え、新しいサウナ等の流行も取り入れることで、魅力あるSPAが提案でき、さらに庭を活かせば、宿の楽しみの幅が大きく広がります。
ヒントとサンプル

①ロウリュという、パフォーマンスのあるサウナを設置しました(図1)
②汗を流した後は、風わたる庭見のテラスで寛ぐことができます(図2)
③岩盤浴やエステマッサージも設置し、2~3時間程度はゆっくり過ごすことができます(図3)
④デザイン性をもたせた個性的なサウナ(図4~8)

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お風呂で過ごす時間を楽しくするテクニック

様々な機能をもたせた浴槽でバリエーションを増やす

単純に浸かるだけの浴槽だけでなく、各浴槽にいろいろな機能やこだわりを持たせることによって、より楽しめるお風呂空間になります。

ヒントとサンプル

①微細な気泡を発生させ白濁しているように見える「シルクバス」。真湯でも一見温泉のように見えるので人気があります。(図1・2)
②寝湯を設け、温度設定を低めに設定することで長湯を楽しむことができます。(図3)
③その他 環境を取り込んだお風呂空間・浴槽のバリエーション 例(図4~6)

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石貼り浴槽のレジオネラ菌対策

湿式工法で裏込めを行い、レジオネラ菌対策に配慮

大浴槽を石で貼る場合、湿式工法でも裏込めモルタルを詰めるのが甘いと石の裏面に空間が出来てしまいます。
それにより、お湯の侵入を繰り返すことになってしまい、レジオネラ菌の住処となってしまいます。

ヒントとサンプル

①浴槽の石貼りは、下地と石材の間に空間を無くす裏込めをして、お湯の侵入を防ぎ、レジオネラ菌検出のリスクを減らすようにしましょう。

温泉施設(浴室)の石種選定の注意点

温泉成分を生かした石種の選定が必要

大理石に比べ、外部環境に強いとされる御影石ですが、石種によっては温泉成分によって錆が発生し、汚れの元となってしまいます。

 ヒントとサンプル

①塩泉の浴室に使用する御影石をよく検討して選定した事例。(図1)

ポイント

温泉成分と使用する石種の組み合わせに問題ないか、設計者や石材業者とよく協議のうえ、選定しましょう。

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内風呂の景色を美しく。

景色を魅せる窓廻りのディテール

無骨なアルミサッシが、石や木でつくられた空間の中で浮いて見え、窓廻りがスッキリしない場合があります。

ヒントとサンプル

①サッシの下框が湯面より下に、隠れるようにします。(図1)
②サッシと浴槽立ち上がりの間に、溢れたお湯を受ける溝をつくります。(図2)
③湯面を水鏡のようにしたい場合は、窓側の浴槽立ち上がりにオーバーフローを設けます。(図2)

 ポイント 

浴槽の立ち上がり部分を工夫するだけで、窓廻りがスッキリするでしょう。

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脱衣室のドライヤーの盗難に困っています。何か対策はありますか。

固定式のドライヤーは設置費用が高く、設置場所も限られてしまいます。そのため、一般にご家庭で使用されているドライヤーを設置する例が増えてきています。

ドライヤーの電源差込部分を抜止め式コンセントに差し込むことにより盗難を防止します。もちろんコンセントはお客様から見えない位置に設置します。また、お客様の持ち込まれるドライヤーについては抜止めコンセントとは別にコンセントを用意しておきます。

掃除しやすい浴槽の作り方は?

出隅入隅を丸面にすると良いでしょう。

玉縁からの漏水を抑えるには?

玉縁の下に金物を入れ防水を巻き上げる方法と自己膨張性止水ゴムを入れるなどの方法があります。
石の玉縁はコーナー部分を留め納まりにしない様にします。木製の場合は玉縁同士を締め付ける金物を仕込みます。
いずれにしても本防水の上に更に二次防水を掛け玉縁下で止める事です。

玉縁の仕上げはどうすればよいですか?

石の場合、上面は滑りにくいバーナー仕上げ又はJP(ジェットポリッシュ)仕上げが良いでしょう。
木製の場合は、玉縁に滑り止めの細い木を埋め込みます。

身障者便所には非常事態に備え緊急呼出し用の押しボタンが設置されています。その他に設置が必要とされる場所はありますか。

不特定多数の入浴者が使用するサウナ室には保健所の指導により設置が義務付けられています。また、指導ではありませんが、露天風呂などでは、凍結等により入り口の扉が開かなくなったり、動物の侵入など非常事態に備えて露天風呂入り口に緊急押しボタンを設置するよう配慮します。

浴槽の水位はどうやって決める?

オーバーフローレベルを水上として決めます。ここから流れるのは常時は足し湯分が出ます。
その時上澄みの汚れも一緒に流れるという考えです。

浴槽の深さはどれくらいが良いですか?

地方性があり一概には言えませんが、概ね550~600程度です。寒い地方ほど当然深くなります。

温泉掛け流しの浴槽にはどれくらい温泉を入れるんですか?

地方性があり一概に言えないのと温泉温度・浴槽自体の大きさによります。夏季冬季の浴槽温度設定をし毎分の流量を計算します。
客室置き風呂1.5t程度であれば、おおよそ10L/分~15L/分ぐらいです。
温泉温度が高い場合は、湯口に冷ます仕掛けを考慮してください。

必ず循環設備は必要ですか?

使用量に制約があるのであれば循環は止むを得ません。浴槽内の温度分布を一定に保つにも有効です。
温泉自体の温度が低い場合は昇温設備も必要です。
掛け流しほど贅沢なものはありません。温泉が豊富に使えるのであれば是非使ってください。
その場合は浴槽下方からのオーバーフロー管を忘れずに入れてください。下からぬるい湯をオーバーさせ暖かい上面が流れ出ないようにするためです。

循環設備は腐食しますか?

熱交換設備は泉質にかなり影響されます。既存施設があれば調査し十分検討が必要です。
SUS304→SUS316→チタンの順に耐食性が高くなります。SUS316はあまり需要が無くかえって高額になりがちなのでチタンをお勧めします。
熱源側が水熱源か蒸気熱源かにも影響します。蒸気熱源の方が腐食性が高まります。
プレート式熱交換かシェル&チューブ式熱交換かにも影響します。シェル&チューブ式の方が腐食性が高まります。

ろ過設備のろ材は何が良いですか?

以前はバクテリア吸着ろ過等もありましたが薬注をろ過機の流入側に設けるように法改正があった為改善が必要になりました。
一般的には砂ろ過をお勧めします。ろ過機も逆洗機能付のもが良いでしょう。

循環設備の配管は掃除する必要がありますか?

レジオネラ菌駆除の為にも必要です。過酸化水素を使って年2回程度配管洗浄してください。
その為に洗浄器具設置場所を決め、循環配管に掃除用のタッピングを設けてください。

浴槽を石貼りにしたいのですが変色しませんか?

温泉の泉質によって変色します。錆御影石系・青石・伊豆石も変色します。
仕上げを選定する際温泉につけて実験してください。
単純泉程度ならば問題ないです。

浴槽の湯温を冷め難くするには?

特に露天風呂など躯体で作る場合、底面と立上りは出来る限りスタイロフォームt:50以上を打込んでください。
製作置き風呂などは浴槽裏面と表面仕上げの間に発泡ウレタン材を吹付け、断熱をしてください。
既成の置き風呂などは蓋も考慮してください。

浴室内・洗い場の床の水勾配はどれくらいが良いですか?

1/75以上を確保してください。

浴室内の結露・湯気は消えますか?

給排気設備を設けるのと冬季などは吸気側に加熱コイルを設け吸気する空気を温め、浴室内を暖め湯気を立ち難くします。
給排気のバランスと断熱を考慮すれば結露もある程度抑えられます。
サッシ等外部に直接接する部分は結露します。

浴室廻りのシール材のカビを抑えられますか?

防カビ材を添加したものを使ってください。既存補修の場合、家庭用市販のカビキラーなどを使ってください。

天井が結露します。どうすればよいですか?

結露対策を施すのと同時に、アルミ製・バスリブ共に断熱仕様の物を使ってください。

浴室内の目地が痩せてしまいますどうすればよいですか?

温泉の泉質による物で目地材に耐酸モルタル等使用してください。

浴場の掃除の方法を教えてください。

機械掃除であればポリッシャーやケルヒャー社製の温水高圧洗浄機などをお勧めします。
脱衣場側の浴室入口近くに掃除用のコンセントを設けてください。露天風呂側には外部に防水コンセントを設けてください。
内湯浴室内には極力コンセントを設けないようにしてください。
掃除用ホースカランは、洗い場の端のカランに掃除用のホースカランを組み込むか別に設置してください。

排煙窓が開かなくなりますが対策は?

オペレーター開放の場合、ワイヤー関係の金物を全てステンレス製のものを使ってください。ワイヤーの長さが長くならない様にオペレーター取付位置を検討してください。開放装置は出来る限り単純な物をお勧めします。
ワイヤー関係は埋め込みにはしないほうが良いでしょう。
泉質によってはステンレス製でも腐食は防げません。そのときはハンドルなど手動開放装置にしてください。

湯口から循環水を出しても良いですか?

湯口より出せるのは上水です。
循環の吹出し口は浴槽内になります。湯口内の給湯給水配管も水没しない様に吐水口空間を確保してください。

水面の広がりを感じさせる見せ方

水の豊かさ、広がり感を出す

水盤やお風呂も、縁の見せ方次第で広がり感を出すことができます。

ヒントとサンプル

①水面の立ち上がりの厚さ分をも水面に見せるため、天端は斜めにして広がり感を出します。(図3)
②オーバーフロー側の立ち上がりは視線に入らないように縁よりも下げるようにしましょう。(図3)
③縁の色は黒御影のように黒色にすると水面を通しても目立ちません。(図4)
④技術的なこととして、石の目地からの漏水を極力軽減するためには、防水層立ち上がりレベルを水面に近づけることで、シール目地への水圧を軽減させる様な納まりを工夫しましょう。事例では、石をL字に工場接着したものに2次防水を一体化させて対応しました。(図4)

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露天風呂の目隠し対策②

アルミルーバーを上部から吊ることで、開放感を得る

旅館などに露天風呂をつくる場合、高層棟などからの目線をどのように切るかが問題になってきます。壁から片持ちで、アルミルーバーを吊ることで、柱なしの目隠しを実現できます。

ヒントとサンプル

①上部からの目線は防ぐが、風・光は通すアルミのルーバーを新設した事例では、ルーバーの下でも、十分植栽も育ち、且つ開放的な露天風呂が完成しています。(図1)

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露天風呂の目隠し対策

外部からの視線を遮り、景色は見せるテクニック

露天風呂を他人の視線から隠そうとして単純に囲ってしまうと、せっかくの景色が台無しになってしまいます。

ヒントとサンプル

①目隠し板を跳ね出し、視線の遮蔽と共に、縁へ寄れないように工夫しましょう。(図1~3)
②ガゼボなど、目隠し自体を面白くデザイン。(図4)
③景色側を深くし(深湯)、上半身が隠れるようにしましょう。

ポイント

配置計画時に最小限の遮蔽ですむよう、現地確認を十分に行なってください。
又、落葉などよる見え方の違いにも配慮する必要があります。

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